先ず姿を整える
居合道修業の眼目である「正・速・強・威」の中でも、特に「正」に重きを置き、先ずは正しい形に注意を払っていることが大切なことでして、その他は正しい形に自ずと付いてくると思います。正しい姿勢が大切なことに異論はないのでしょう。
「正」とは流派伝承の掟のことでもあり、私はその形が整っていれば、たとえそれが未熟であっても正流の技であると見なせると思います。
ならば、「正」とはただ形を整えればよいということなのか?と問われれば、それに対する答えはある意味では「yes」です。
なぜならば、本物の形には確固とした裏付けがあるものだからです。実は形は単なる外観ではなく、その深奥には往々にして目には見えないものが隠されているものです。よくよく観察してみるとほんの僅かなしぐさや、見逃していた姿形から、技の本質が窺えて、新たな発見につながることがあります。これが技を盗むということです。
思うところ、「正」には「速・強・威」が含まれています。そうすると「正速強威」は段階ではなく同時に在るものといえます。ただし、「正」を欠いた「速・強・威」は成立しません。
昨今、巷には同じ流派を名乗っていても形や理合いが多種多様で、大きな差異を感じることが多々あります。それらとの比較には限がありませんので、お互いに不干渉を守り主体的に進むほかありません。
そのような状況の中、私たち修塾は、正統21代福井宗家の形(技)を正流と定めその技を目指しております。そして、その形を大切に継承して行くことのみに主眼を置いて稽古している道場です。会水