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伝統

我が修塾を始めた目的は「わが国の歴史と伝統を尊重し、正正と技を修練し、正しく次代につなげる」というものでした。

そのためには、少数精鋭も悪くはないということを常々発言してまいりました。

伝統を保持するためには、裾野を広くすることが必要だと、よくいわれますが、裾野が広まっても頂きが高くならず、内容が薄められてしまっている事象が、居合に限らず多いように感じられます。

それでは、修塾の趣旨からすれば、本末転倒であり、礎を築いて下さった同志の武井三次氏の意にも反してしまいます。

裾野は広いにこしたことはありませんが、頂きが低いよりは、仮に底辺が小さくとも、てっぺんを高くすることが、伝統の継承に寄与することになるのではないかと考えております。

誰にでも親しみやすい方向を目指し、輪を広げるという方法もあるのかも知れませんが、最高を目指すことをしないと、やがて居合が大衆化して、技そのものの質が変容してしまいかねないと強く懸念しております。最高とは、伝承されてきた知り得る限りの最高レベルのことです。

このように申しますと、一見ハードに聞こえるかもしれませんが、稽古は苦行ではないので、たった今、その場に居さえすれば自然に流れて行くものです。会水

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