原点について
原点とは、根源となる基準となる地点ですが、私にとっての居合の原点は、河野宗家から福井宗家へと連なる訓えです。
たとえ同じ流れの方々でも,見方や見る人の経歴、個性、思い入れ等々の違いにより、技前の解釈が大いに異なるのも事実です。
それに加えて「その根源が多様化して行くのは自然の流れであり、むしろ新しきを求めて未来に向かってこそが伝統の護持につながる」とかいう人も現れております。
しかしながら、我々が学んでいる古武道たる居合道は、敵との攻防を元としているはずであるから、それを抜きにしてしまったら、技の根源から外れてしまうのではないでしょうか。
そう考えると、未来に向かっての多様性を認めるのではなく、むしろ過去に向かうことこそが伝統の護持ではないかと私は考えております。
それについては、常に自問自答しているところですが、「私にとっての原点に集中して、他を顧みないこと」と頑固に自分に言い聞かせております。
冒頭に人によって解釈が異なると述べましたが、正にそれこそが多様性につながる元ではないかと思っております。
それを避けるにには、天才ではない我々は、見た目の印象や他人の言動に左右されることなく、何をおいても「口伝」に従うことではないかと考えます。
「口伝」とは、口頭で伝えることですが、敷衍(ふえん)して、その意味を広く言い換えれば、それを記した書物も該当します。
以上、自戒を込め、改めて決意しているところです。2024.12.会水
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