宗家訓
宗 家 訓
当流の居合を学ばんとする者は、古来より伝承せられ以って今日に
及ぶ当流の形に聊かも私見を加うることなく、先師の遺された形を
毫末(ごうまつ)も改変することなく正しく後人に伝うるの強き信念
を以って錬磨せられんことを切望する。
剣は心なり。心正しければ剣正し。
心正からざれば剣又正しからず。
剣を学ばんとする者は技の末を追わず、その根元を糺し、
技により己が心を治め、以って心の円成を期すべきである。
居合道は終生不退、全霊傾注の心術たるを心せよ。
「宗家訓の由来」
出典(江坂静厳著 無双直伝英信流居合道入門 2014年10月1日初版 244ページ)より引用
上掲の「宗家訓は、昭和15年5月、福井先生が河野先生のもとに入門を許されたときに授けられた訓です。福井先生は爾来「紙がすり切れれば、新しい紙に書き換えつつ、戦時中も肌身話さずに持ち歩き」今日(昭和48年)に至っているとのことでした。この話を聞いた河野宗家は、「入門時の訓を、よくぞ今日まで忘れずに守ってくれた」とのお言葉を述べられ、感無量の面持ちでいらっしゃいました。
福井先生は、昭和49年12月2日、正統第二十一代宗家として推挙されたとき、故河野宗家の御霊前に捧げられた誓詞の中においてこの全文を述べられ「このお言葉を信条として当流発展のために身命を捧げる覚悟であります」と結ばれ(北海道居合道新聞 昭和50年1月30日号)、宗家訓として末永く伝え遺すことを決心されました。
2024.9.2会水
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