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伝統の継承、伝承に関する私感

「伝統を守る」ためには、新しいことにチャレンジし現代にマッチした改革や、時には破壊することも必要云々ということを耳にすることがあります。


しかしながら、居合道に入門した当時から、伝統を守るためには、古来伝承の技を決して改変してはならないと言われて育ってきました。


当時を振り返ると、保守的な観念としての伝統護持を半ばお題目のように唱えてはおりましたが、具体性には欠けておりました。それから月日を経て、道場を創立した際、仲間とともに改めて伝統を守るためには如何なる方向に行くべきかについて話を重ねました。


結論として、道場の目指すべき技を、正統第21代福井虎雄先生と定めました。なぜなら小生の知る限りにおいて、福井虎雄先生は近世で最も技量が高く、東西随一の剣士であり、長らく師匠とともに指導を受けて来た恩師であり、今でもそのクオリティーに比肩する技は無いという信念を抱いております。


では、具体的に福井虎雄先生の技を目指すにはどうするべきかが次の課題でした。

ただ漠然と福井虎雄先生を目指すというお題目を唱えているだけでは仕方ありません。


また、伝統を守るためには、小生一人では到底立ち行きませんから、その思いを仲間と共有する必要がありました。そのためには、都度、福井虎雄先生の技を一節一節解説することに努める他なしという思いに至りました。そのため、稽古においては、福井宗家の氏名を頻繁に用いております。


一節一節解説するとは「一挙手一投足」漏らさずに稽古するということであり、指先の動きから、足の運び方まで緻密に小生が福井宗家の技を日々観察し、毎回それを仲間に伝えていく他ないということに行き着きました。


とにかく、漠然とした観念を抱いているだけではなく、先ずは具体的な動座(一挙手一投足)、具体的な手順、および外形を具体的に真似て、細大漏らさず学ぶことこそが、伝統の継承には不可欠であると考えております。2023.5.29会水


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